2012年7月8日日曜日

エピソード5〜美容室に半年通う〜

実はこのエピソードを披露するよりも遥か前、美容室に挑戦したことは一度あったのだ。それは確か大学一年の夏休みで、まだ好きだった高校の部活の後輩Aと繋がりがあり、某個別指導塾のアルバイトでそれなりに充実していた時代だった。そのときは、一度通ったときに疲れて感じもう行かなくなってしまった。女性店員がカット中絶え間なく話しかけてくるからである。これにはボクもウンザリしてしまった。せっかく話掛けてくれているのだから無視をするのは失礼だし、少しでも会話を弾ませなければと気を遣いっぱなしだった。たしかに髪はオシャレになり、眉毛もキリッと整えてくれた。しかし気遣いが凄く疲れてしまい、もう行きたくなくなってしまったのだ。。。その後は1000円カットや床屋さんで済ませる日々を送っていた。

しかし大学3年の秋だったか。またもや気が変わり、やはり髪型をカッコ良くしなければモテないだろうと、急に決心をした。。ボクは気がコロコロ変わりやすいのである。それと同時にある約束も自身と交わした。それは、こういう内容である。「とにかくどんなに店員と会話が嫌でも、最低半年は通おう。半年たってもダメだったら通うの辞めればいいんだ」という訳で半年通うことにした。

ボクがチョイスしたお店は、女性客がほとんどで、男性スタッフがほぼいないところだった。何故かといえば、特に男性の美容師は怖くてたまらなかったからだ。「あんなチャラチャラした雰囲気の男性美容師たちは、きっと自分のようなキモヲタが来店したら、見下しながら馬鹿にした態度で接客するに違いない」と思い込み、男性スタッフだけは何が何でも避けたかったのだ。。だから、女性店員比率が高いお店をチョイスした。

勇気を出してそのお店に入ろうとしたが、足が竦んで中々入れなかった。やはり天下の美容室ともなると緊張してしまった。しばらく店の周りのスーパーやら本屋をウロウロしつつ、行くぞ行くぞと自分に喝を入れながらようやく来店まで漕ぎ着けることが出来た。来店まで一時間以上掛かったかもしれない。美容室入るだけでまるでアドレス作戦の時並に勇気を振り絞らなければならないとは、我ながら小心者で情けない。。。

お店に入ると、まずは受け付けてカットしたい旨を伝え、待合室で暫く待つことにした。受け付けの女性は結構可愛いかったが、ボクを小馬鹿にしているようにも思えた。しばらくするとボクの髪をカットする役目を背負わされた女性店員が現れた。20代後半らしく、髪はやはり染めてオシャレ風だったが落ち着いていてキモヲタを馬鹿にする怖さはなかった。その女性店員は、Wさんという名前だった。

始めはWさんからアンケートを受けたが、そこで困ったことが、起こった。どんな髪型にしたいかという質問を投げ掛けてきたのである。これは返答に窮する質問だった。はっきりいって自分に、したい髪型などまるで無かったのである。リア充雑誌の髪形写真が一覧になって並んでる本を見ても、「イケメンリア充うぜー」という感想しか湧いて来ず、こうなりたいという髪型ビジョンが掴めないボクには過酷な質問だった。

その後何て答えたかは忘れた。おそらく、自然に、とか、今風、とか、大学生らしく、といった曖昧でどうとでもとれる答えを返したのだと思う。そうして遂にカットが始まった。Wさんは大学一年のときに経験したよりもそんなに話しかけて来ることはせず、気を遣って疲れることは無かった。それどころか、ちょっとした喜びを提供してくれた。Wさんのおっぱいが、ボクの後頭部に当たっているのである。。。童貞のボクを釣ってカモにする作戦なのかも知れなかったが、それでもボクは興奮して股間が熱くなるのを感じた。その後はボーッとしながらもカットが終了し、イケメン風かよく分からないがワックスをつけてツンツンした髪型になっていた。

その日の夜は妙な興奮を覚え、髪型でモテるなどといった当初の目的をすっかり忘れ、Wさんの胸の感触を思い出しながら、オナニーをした。。それからボクはWさん目当てで8ヶ月ぐらい通ったように覚えているが、結局普通の床屋に戻した。理由は、目的のWさんが美容室を退職することとなってしまったからである。話を聴くかぎりリストラっぽかった。たしかに可愛いくて胸を当てて来るが、美容師としてのテクはあまりないのかも知れなかった。そして通い続けてもボクのリアルで何か変化の起きる兆しが皆無だったので、美容室に通ったところでモテには意味ないと感じだし、入店までハードル高く感じ緊張してしまうような場所にわざわざいくことないなと、床屋に戻したのだ。

Wさんが退職するタイミングでお店を出ようとすると、いつもと違い外まで迎えに来てくれ、お別れの挨拶をしてくれた。ボクも、「今までありがとうございました」的なお礼を投げ掛けた。そのあとに何か気の利いた言葉でも言えればよかったのだが、言えなかった。。またしても何も思いつかなかった。メアド交換も一瞬脳内をよぎったが実行には移せず、そっけなく見えるだろう態度でその場を後にした。

Wさんは可愛いし落ち着いていて、美容師なのに(なんとなくチャライイメージがあるのだ)キモヲタを馬鹿にしないいい女性だと思った(という妄想なのかもしれないが)。その後も連絡取り合って会いたかったが、それを実現するための行動をいっさい取れないボクの不甲斐なさに、悔しくてないた。。。

しかし一個だけ、褒められる内容がある。それは、「最低半年は何がなんでも通う」という自身と交わした約束を守ることが出来た点である。大したことではないかもしれないが、大事なことを達成したように思えた。





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